歯列矯正の治療目標は次の4項目の達成になります。
1、効果的な咀嚼機能の獲得(咬合、噛み合わせ)
2、健康的な口腔組織(歯茎=歯肉、歯槽骨:歯が植わっている骨組織)
3、顔貌との調和(美しい口元、横顔)
4、治療後の歯列の安定性
矯正医であるまえに、歯科医である私は抜歯をしないで治療目標が達成できないかをまず考えます。
その上で抜歯が必要であれば患者さんにご説明し、納得していただいた上で、 治療目標の達成ために抜歯を行います。
自分の息子の歯列矯正は抜歯を行って治療しました。
必要な抜歯をせずに無謀な非抜歯矯正を行った場合、噛み合わせ、歯周組織の健康状態、顔貌そして治療結果の安定に好ましくない結果を招く事になります。
他院で非抜歯矯正治療をうけて好ましくない状態となり、当院で抜歯をして矯正治療のやり直しをした患者さんが何人かいらっしゃいますので、その一部をご覧ください。
以下の症例は、無理な非抜歯矯正治療により顔貌、歯並び、かみ合わせ、歯周組織、顎関節のいずれかに問題が起きていました。
その原因は、治療開始時の治療目標の設定にあったと考えられます。
case1
症例の説明
20代に非抜歯矯正治療を経験した女性。 唇が閉じづらい事を主訴として来院。 口元は突出していて、唇を閉じる時に口の周りの筋肉が緊張し下唇が反転して(めくれて)いる。 上の歯は並んでいるが、下の前歯はガタガタしている。 上の前歯は突出していて奥歯の噛み合わせは不安定な状態。 小臼歯4本の抜歯を行って治療しました。 治療後には、歯列、かみ合わせは、口元の形も好ましい状態となりました。治療例
| 症例 | 上突咬合、叢生歯列 |
| 治療開始時年齢 | 30才7ヶ月 |
| 治療期間 | 25ヶ月 |
| 使用装置 | エッジワイズ装置(ワイヤー) 4本抜歯 |
| 治療費総額 | 73万5千円(税込) ・診断料、保定料を含みます ・別途いただいた費用はありません |
治療前(初診時)
治療後
case2
症例の説明
他院で受けていた非抜歯矯正治療により、かみ合わせに深刻な問題があった症例。 前医で受けている矯正治療を疑問に思い、セカンドオピニオンを受けたいと来院されました。 口腔内には歯列拡大のための装置が装着されていました。 4年間に渡る非抜歯矯正治療によって、歯列、特に上顎の歯列形態(幅)が大きな影響を受け拡大し、それに対して、下顎の歯列は拡大の量が少ないため、左右共に奥歯のかみ合わせに大きな問題が生じていました。患者さんは、当院での治療を希望されましたので、精密検査後に、まず前医にて装着されていた装置を撤去し、何も力を加えずに経過観察を行いました。 経過観を察開始した2ヶ月後には、上の奥歯の歯列の幅は2ミリ以上縮小し、本来の歯列形態(幅)へと戻ろうとしていると考えられましたので、必要な抜歯を行い、エッジワイズ装置を装着し矯正治療を開始しました。 治療は順調に進み23ヶ月間でエッジワイズ装置を撤去しました。 治療後には上下の歯列は調和のとれた形態となり、かみ合わせも改善しました。 治療1年後には、奥歯の歯列の幅はさらに縮小しており、上下の歯列形態とかみ合わせはにさらに好まい状態で安定していました。 現在も定期的に検診を受けていただいており、歯列、噛み合わせともに好ましい状態で安定しています。治療例
| 症例 | 過蓋咬合、叢生歯列 |
| 治療開始時年齢 | 13才11ヶ月 |
| 治療期間 | 23ヶ月 |
| 使用装置 | エッジワイズ装置(ワイヤー) 3本抜歯(右下の小臼歯が1本欠損のため) |
| 治療費総額 | 77万円(税込) ・診断料、保定料を含みます ・別途いただいた費用はありません |
治療前(初診時)
治療後
治療後1年
case3
症例の説明
約4年前に受けていた非抜歯矯正治療により、かみ合わせ、歯周組織と顎関節に問題を生じていた症例。 顎の痛みと奥歯がしみるため一般歯科を受診したところ、歯の位置とかみ合わせに問題があるのではと説明を受けて当院に来られました。 上の奥歯は外側を向きすぎていて咬んでいない状態で、歯列の形は本来とは程遠く、一部の歯茎は退縮し歯根が露出していて(↓部位)、その部位に知覚過敏が認められました。上の歯列が過度に拡大されており、一方、骨の幅は拡大していないためにそのような状況を招いていました。 口を開ける時の顎の痛みも認められました。 かみ合わせと歯周組織の健康の為には、必要な抜歯を行って矯正治療を行う必要があると説明を行い、納得していただけましたので、必要な抜歯を行い矯正治療を行いました。 治療は順調に進み21ヶ月間でエッジワイズ装置を撤去しました。 治療後には上下の歯列は調和のとれた形態となり、かみ合わせも改善しました。 また、退縮していた歯肉も良好な状態に回復し(↓部位)、知覚過敏症状と顎関節症状も無くなりました。治療例
| 症例 | 過蓋咬合、叢生歯列 |
| 治療開始時年齢 | 14才6ヶ月 |
| 治療期間 | 23ヶ月 |
| 使用装置 | エッジワイズ装置(ワイヤー) 4本抜歯 |
| 治療費総額 | 77万円(税込) ・診断料、保定料を含みます ・別途いただいた費用はありません |
治療前(初診時)
治療後
case4
症例の説明
小学校2年生から6年生までの4年間、主に歯列拡大の矯正治療を受けていたとの事でした。前医では出っ歯のまま矯正治療の終了を告げられたそうです。 ご本人、母親ともに前歯が出ている事と口元の形を気にして来院されました。 上の前歯は著しく出ていて、唇を閉じる事が困難で、絶えず前歯が見えている状態でした。 前歯を引っ込めて美しくバランスのとれた口元に仕上げるために上の前から4番目の歯を左右1本(合計2本)抜歯して矯正治療を行いました。 治療は順調に進み19ヶ月間でエッジワイズ装置を撤去しました。 治療後は出っ歯は治り、美しい口元に仕上がり本人は勿論、ご両親も喜んでくださいました。 この患者さんが前医で受けた歯列拡大を主とした矯正治療は、全く必要がなかった、または受けるべきではなかったと言えます。 良心が欠如しているかまたは知識及びテクニックが欠落した志の低い矯正医のもとに行われた行為です。治療例
| 症例 | 上突咬合、上突歯列、空隙歯列 |
| 治療開始時年齢 | 15才10ヶ月 |
| 治療期間 | 19ヶ月 |
| 使用装置 | エッジワイズ装置(ワイヤー) 上顎2本抜歯 |
| 治療費総額 | 77万円(税込) ・診断料、保定料を含みます ・別途いただいた費用はありません |
治療前(初診時)
治療後